【特別対談】「音楽都市 福岡」の未来(後編)

※左から、深町健二郎氏・寺田蝶美氏・松隈ケンタ氏・深澤功氏

音楽とは違うなにかと融合する重要性

深町氏
深町氏

先ほどは音楽における様々なジャンルの掛け合わせの話をしましたが、別の視点で見ると音楽とは違う何かを掛け合わせる考え方もあると思います。音楽の在り方がテクノロジーの発展と共にどんどん変化していますよね。レコーディング技術が生まれる前までは生音でしか音楽に触れる場所がなかったですし、ある頃に譜面ができて世界に流通するようになって、曲自体が独り歩きできるようになったんですけど、レコーディング技術がテクノロジーとして生まれたことは実はものすごく大きくて、再現性と言うんでしょうか、どこでも誰でもアーティストの音楽を聴けるようになりましたし、それ自体がビジネス化して音楽市場は拡大していきました。

深町氏
深町氏

現在だと、ストリーミングサービスの普及によって個人レベルで音楽の発信ができるようになりました。このように音楽とテクノロジーは密接に関わっているところもありますので、音楽とテクノロジーで何か新しいことができないかということもありますし、もちろんテクノロジー以外の組み合わせでも新しいことができるのではないかと思っています。

深町氏
深町氏

この協議会は色んなジャンルの音楽に携わる方々の集りでもありますが、産官学民が混ざり合った団体でもあります。なので、音楽もそのような垣根を越えた形で、音楽と関係ないような一般企業等と一緒になって新しいことを作っていけるかもしれないのです。ミュージックアーバニズムの視点でいくと、教育的な面でも非常に有効に活用できると思っています。福岡のコンパクトシティを利点として捉えると音楽とは違う何かとの融合性も期待できそうですが、そのようなことを意識されることはありますか?

寺田氏
寺田氏

福岡音楽都市協議会が運営している『OTOJIRO』のデータベースに登録することによって、様々なジャンルの方と繋がれることをもの凄く期待しています。出逢いの場として機能するととてもありがたいなと思います。

深町氏
深町氏

これは一つのアイデアですけど、この出逢いの場をきっかけにして、街づくりに還元できたらいいですよね。街における音環境を例に挙げると、街なかにはいろんな音で溢れています。目が不自由な方の為に信号機の音が鳴ったり、公共交通機関でもその場所その場所で流れるメロディーがあったりします。例えば、西鉄が協力してくれることによって、その駅の構内でオリジナルのメロディを流すことができるかもしれないですよね。松隈さんは何かそのような可能性を感じたりしますか?

松隈氏
松隈氏

先ほど深町さんがおっしゃったようにレコーディング技術が確立されて、レコードからCD、サブスクの流れがあってスマートフォン等で毎日のように聴いているのが現在なわけじゃないですか。ひと昔前は、ライブで音楽を楽しんでいたのがCDの登場で家の中でも音楽を聴けるようになって、今度はポータブルプレーヤーが登場して持ち運べるようになって、CD自体が売れるようになったわけです。この時ってカラオケの大ブームやモノを売るためのコマーシャル素材として音楽がくっついていた時代だと思っていて、CMとかでその商品に音楽がタイアップしているイメージですよね。みんなはCMを見てモノが欲しくなって買うわけですけど、不思議とそのCMの音楽も聞きたくなるからCDを買ったり、その音楽を友達とかと一緒にカラオケで歌うみたいな流れがあったと思うんです。

松隈氏
松隈氏

ところが今は昔ほど物欲もなくなってきちゃったので、CMで流れてもそんなに売れないんですよね。カラオケもかつてほどではないと思います。なので、多分また違う何かとくっついてないと音楽って行き場を失うんじゃないかなと思っています。一つは深町さんもやられているフェスですよね。あれは一番面白いコンテンツだと思います。野外とお酒と音楽は最強です。でもそんな頻繁に毎週できるものではないので、やっぱり街なかで流れる音楽。この協議会にお誘いいただいた最初の深町さんの電話で、このことを言われてたのが印象的で、ものすごく同意したんですよね。沖縄を例にすると、空港ついたら「涙そうそう」が流れますよね。「いざゆけ若鷹軍団」に次ぐ新しい音楽が街なかで流れるのは面白いと思います。これが音楽に限らずちょっとした曲とかでもいいと思うんですけど、音楽で溢れている街にするのは僕の夢だなと思って、僕はここに参加しました。

深町氏
深町氏

今の話みたいに、CD等がどんどん売れなくなっている現状があって、市場がどんどん縮小しているなかで言うと、福岡は元々市場規模が大きいものではないので、競合が少ないからこそ新しい仕掛けを生み出しやすいっていうことは十分考えられます。この手があったか!みたいな新しい取り組みをですね。福岡でヒットソングを生み出そうとか、新しい次世代アーティストを生み出そうとか、それだけがこれからの目的じゃないと思っています。音楽をうまく活用した新しい取組としての方法論があった方が面白いと思うんです。

松隈氏
松隈氏

音楽って主役に見えるんですけど、僕の場合は主役にならないようにすることを考えていて、僕がプロデュースする場合はアーティストのストーリーにBGMを付けていますし、たぶんプレーヤーの皆さんも自分自身のストーリーにBGMを乗せて伝えているんだと思います。深澤さんのお話で札幌と福岡だと音が違うとおっしゃっていましたけど、やっぱりそれぞれのストーリーが違うからだと思うんですよね。これから大事にしていくべきことだと思っています。

松隈氏
松隈氏

音楽だけを全面に売っていく時代ではなくなってきている感じはします。でも一方で、tiktokのようなコンテンツに偏りすぎて、流行ってる音だけOKみたいな、いわゆる消費音楽としての活用だけだと衰退していくと思います。ちゃんとその人のストーリーとかその会社のストーリーとかと一体化する意味でのタイアップをしていければ聞き手もハッピーになると思いますね。

深町氏
深町氏

深澤さんは音楽との融合についてどう思いますか?

深澤氏
深澤氏

実はクラシックは比較的日常に溶け込んでいて、例えば福岡の地下鉄の駅構内では頻繁にクラシック音楽が流れています。携帯の着信音であったり、もちろんテレビのいろんな場面で聞こえてくるメロディーなど、知らず知らずのうちに耳に聴こえているんですね。このメロディー聴いたことある!と思って調べてみたらクラシックの誰々が作ったどこどこの曲の一部だったみたいなことは良くあると思います。

深澤氏
深澤氏

ただ一方で聴き馴染みがあるが故に、クラシックの入り口にいるかいないかくらいの感じでしか触れる機会がない方も多くいらっしゃると思います。もうちょっと深く入り込んで、理解してもらうことで感動もありますし、音楽のチカラを感じていただけると思います。今までなんとなく聴き流していたものをちょっと深く入ることによって心への染み方が変わってくると思うんです。まだ具体的なアイデアはないですけど、クラシックがみなさんの日常に「深く」入り込めるようなこともできたらいいなとも思います。

どんなことも受け入れる福岡の寛容さ

深町氏
深町氏

先ほどフェスの話が出ましたが、福岡はたまたま9月の毎週末にいろんなジャンルの音楽フェスが5つ行われているんですけど連携して福岡市全体を音楽で盛り上げていくということをやりませんか?って各フェスの主催者に言ったら皆さんとても共感してくださって、福岡ミュージックマンスというのができました。この大きな傘ができたことによって、5つのフェスを通して感じたことは街全体が輝き出したんですね。

深町氏
深町氏

福岡ミュージックマンスが立ち上がって3年ぐらいのときに、突然海外の団体から連絡が来たんですけど、世界中の音楽都市が集まるミュージックシティコンベンションと言われる国際会議の事務局からでした。その国際会議であなたたちの活動をプレゼンテーションしてもらえませんか?という内容だったんです。もちろんその国際会議には参加して福岡ミュージックマンスの話をしたら、福岡はすごく特別な街だということで評価をいただきました。これは1つのフェスだけでは声がかからなかったと思うんですけど、まち全体の取り組みとして活動してきたことが、結果的には日本を飛び越えて海外から面白い活動だということに気づいてくださって、ミュージックシティコンベンションに参加できることになったんだと思います。連携していく、共に創るという意味での共創をみんなが真剣に考えたらやれることって想像を超えていくことを実感しました。

深町氏
深町氏

今まではミュージックマンスという形でフェスという括りでジャンルも近いところでやっていますけど、福岡音楽都市協議会が生まれたことで、ロック、ポップス、ジャズ、クラシック、伝統音楽など本当に多岐に渡る方々が携わっているわけですので、9月だけじゃなくて、例えば10月はクラシックを中心としたイベントを開催したりとか、これこそ福岡の街が音楽都市としてバージョンアップするのかなと思いますし、それを一つの目的にしたいと思いますね。

深澤氏
深澤氏

これは個人的な話になりますけど、毎年9月に開催される中洲ジャズで街なかを歩いてたら聴き馴染みのあるフレーズが聞こえてきて、まさかと思ったら私の大好きなドラマーだったんですね。まさか無料で聴けるなんて思わなかったから本当にびっくりしましたね。レベルの高いアーティストの演奏が街なかで無料で聴くことができることはすごいなぁと思う一方で、私たちクラシックの世界ではこのように街なかで無料のフェスを開催するということは簡単にできることではないなぁと実は思っています。ただ、これもやりようだと思っていて、ちゃんとしたレベルのクラシック音楽が身近にある仕組みをどうやって創っていくかだと思います。

深町氏
深町氏

冒頭に少し話した教育もすごく大事だと思うんですよ。ところが福岡は音楽都市を標榜したいんですけど、専門学校はあるんですが、音楽大学がないんですよね。東京オリンピックが始まって見る機会が増えたと思うのですが、スケートボードで凄い子が出てきたじゃないですか、西矢 椛選手、弱冠13歳で金メダルを取ったわけですけど、どうやってこういうストーリーが生まれるのかなってちょっと自分なりに調べてみたら、彼女は大阪の松原市出身で、その松原市にはスポーツパークがあって、ちゃんとその中にスケボーパークがあるんです。つまり5歳6歳のころからスケボーがやれる環境が整っていたんですね。

深町氏
深町氏

素晴らしい選手が誕生するには環境の重要性を本当に感じましたね。ご両親の教えももちろんあるとは思うのですが、自分の暮らしている街にそういう環境があるかないかで多分その後の人生が本当に変わっていくのではないかと思いますよね。おそらく彼女は今回の金メダル獲得をきっかけに人生が変わる経験をしていくんだと思うんです。ちゃんとした下支えがあるかないかって本当に大きなことだと思います。今の時代はすぐ成果を求める時代で、これがあることによっていくら儲かったとか、そういうことに直結したデータであったりエビデンスであったりがないと、なかなか説得力を持たないですけども、やっぱり5年先、10年先これがあるとこうなるよね、ということをしっかり考えるところが私は必要だと思っていますね。

寺田氏
寺田氏

未来への種まきですよね。

深町氏
深町氏

まさにその通りです。一方ではあんまり過保護になってはいけない部分もあって、ロックをやっている連中は別に手厚くフォローされることを望んでいなかったりしますよね。むしろ反発して決められた枠から飛び出して形を創っていくスタイルもあるので、この塩梅がすごく大事だったりしますよね。だからなんでもかんでも提供して整えばいいというものでもなくて、ないからこそ飢えて何かが生まれるということもあります。ただ、選択肢を増やすという意味では環境を整えてあとはそこでやるかやらないかはあなたの自由。東京に行きたいんだったら行けばいいし、福岡の環境がよければそこで頑張ればいいし、そんな選択ができるようになったらいいなと思います。

深町氏
深町氏

昔は先輩たちのやった事を一つの道標にして進んでいくしかなかったのが、今はイノベーションが生まれやすい時代ですから、誰もやってないからこそ新しいことが生まれるじゃないですか。最初は全否定されることもあると思うんです。共感もしてもらえないし、でもそれでも頑張って頑張ってようやくブレークするポイントができて、あいつすげえなって初めてそこで評価されることもあります。と言いつつも私自身悩んでることがあって、福岡を盛り上げたいという気持ちもあるけども、別に福岡だけがすべてじゃないし、いろんなところがある中で、福岡も輝いていたいなという想いもあります。

深町氏
深町氏

だから協議会はそういうことを話し合える場にしたいなって思いますね。人それぞれ考え方が違うじゃないですか。だからこそ、そこでいろんな知見が生まれますし。寛容な街だと思うんです福岡って。どんなことも受け入れるというか、認めてあげているというか、息苦しくないところがあるのが福岡の良さだったりしますよね。「ゆるさ」ってすごく大事だと思っていて、今後の協議会のキーワードのような気がします。ざっくりと、こんなのがありますけどどうですか?好きだったらこれ使ってください、嫌だったら使わなくて大丈夫です、みたいなですね。

深町氏
深町氏

なんか私の想いをみなさんに聞いていただくような形になってしまいましたが、なにより皆さん共通して言えるのが、やっぱ福岡が好きだということだと思うんです。自分たちの街がより面白くなったらいいなという想いのもとみなさんは集まってくれたのだと思います。福岡らしさ、新しさが何なのかをみなさんで考えていけたらと思いますね。

音楽における人材育成の在り方

深町氏
深町氏

松隈さんが何か新しいことを始めるとのことで、お話伺っていいですか?

松隈氏
松隈氏

そうなんです。ちょうど今Tシャツ着てるんですが、先ほどお話に出てた育成に関することで、「BAD KNee(バッドニー)」というレーベルというか、レーベルって言うのも古いなぁって思うんですけどね。レーベルってレコード会社のことなので、別に盤は出さなくてもいいかなと思ってるんですけど、草野球でじん帯を3年前に切ったんですが膝を悪くしたのでそれが名前の由来です。(笑)

松隈氏
松隈氏

僕個人で考えてる構想があって、福岡のバンドや楽器を始めたい人たち、シンガーとかアイドルでもいいと思うんですけど、東京に行かなきゃ駄目だっていう時代がもう終わりつつあるので、福岡で教えていきたい、提供していきたいということで、場所を作れば盛り上がるかなと思って、今僕たちが座っているこのバー(ガルディロックス:今泉)も去年作ったんです。奥に簡易ステージが組めるようなスペースがあってちょっと段差がついてるんですよ。配信ができるように機材も置いてあってインストアライブみたいなのができる環境を作りました。

松隈氏
松隈氏

やっぱりもうライブハウスに人集めて強制的に音楽を聞かせるという時代はもうちょっと古いかなと思ってて、耳痛いじゃないですか。僕が言ったら終わりなんですけど(笑)気軽に飲みながらっていうライブバーに近い感じだったりします。こういった場所もそうですが、今泉からカルチャーを作りたいなという想いもあって、「BAD KNee(バッドニー)」を立ち上げました。

深町氏
深町氏

やっぱ松隈さんはプロデューサーですね。本当に優秀だなぁって思ったきっかけがあって、昨年コロナの中でチャリティーソングを作ろうということで松隈さんにお願いして、「Beat goes on」福岡の音楽は止まらないというテーマで100人ぐらいの人たちに協力していただいて、凄くいい曲ができたんですよね。そのレコーディングに私も立ち合わせていただき、松隈さんの手腕を横目で見ていて思ったのが、その人のポテンシャルの引き出し方がめちゃくちゃ上手なんですよ。レコーディングって凄く緊張するし、なかなか本領も発揮できないような場なんです。そこをいかにリラックスさせて、さらにその人の120%を引き出せるかっていうのが大事なんですが、これ言うのは簡単ですけど、実際それをやれる人って今までなかなか見たことなくて。

深町氏
深町氏

松隈さんは本当に引き出し方が上手で、歌えそうもないような人が気付いたら調子乗ってめちゃくちゃいい感じで歌ってたりですね(笑)高島市長も緊張がどんどんほぐれて甘い声で歌ってましたよね。さきほど教育の観点でのお話がありましたけどまさに先生のような存在というのは実はすごく大事だと思っていて、松隈さんはこれからの福岡の音楽シーンでいうと、キーマンになってくると思いますし、松隈さんと出会ったことで人生変えられましたっていう人がたくさん出てくるみたいなことを期待しています。

松隈氏
松隈氏

ありがとうございます。今は3グループぐらい若手の面倒を見ているのですが、自分が所属しているバンドも交えて一緒にイベントやっていきたいと思っていますし、入りたい人はみんなおいでよみたいな感じにしていければなと思っています。

深町氏
深町氏

九響さんは人材育成についてどのように考えていらっしゃるんですか?

深澤氏
深澤氏

楽団内に関しては具体的な取組みはないですね。

深町氏
深町氏

もともと上手な人がオーディションとかで入団されますからね。

深澤氏
深澤氏

例えばクラリネットのパートが1人欠員出て募集をかけると、全国から100人くらいが申し込んでくるんですよ。オーディションをやったからって必ず1人合格するわけではなくて、流れることもあります。楽団メンバーが審査をするのですが、自分達の感覚がありますから、上手さだけではなく九響のサウンドに合うかどうかの視点もありますね。オーディションに受かったとしても約一年間一緒にやってみて楽団との相性等を見る最終審査みたいなものがありますから、本当に狭き門だと思います。

深澤氏
深澤氏

人材育成の話に戻すと、個人的に指導している楽団員は多いと思います。それこそレッスンを行ったりだとか弟子を持ったりだとか。オーケストラとしては「中学生の未来に贈るコンサート」など子ども達が生演奏に触れる機会を提供しています。その中で教育的プログラムを取り入れたりして、長期的な視点で聴衆や演奏会の育成に務めています。私も子供の頃にオーケストラを生で聴いたときにすごく心に響いて、それがきっかけとなって今があります。子ども向けや青少年向けのコンサートを開催することが未来のプレーヤー育成に繋がるという意味では人材育成に貢献していると考えています。

深町氏
深町氏

長期的な視点での人材育成の在り方としてはとてもいい取組ですね。オーディションの話ですが、たしかに競争原理は大事かもしれないですよね。さっき福岡のゆるさについて話をしましたけど、あんまり頑張らんでもいいやん、みたいな空気感が若干ありますよね。東京だと一流同士のせめぎ合いがあったりするじゃないですか。だから福岡ではよっぽど自分がしっかりした考えを持っていないと、どんどん流されてしまいますね。

深澤氏
深澤氏

昔だと自分はクラシックのミュージシャンだからクラシック一筋みたいな考え方が主流でしたけど、今はだいぶ考え方も変化してきて、ほとんどのプレーヤーがクラシック以外のジャンルにも関心を持って演奏を楽しんだりしています。実際にメンバーの中にはジャズを演奏させたら天下一品の人もいます。情報がこれだけ溢れている時代なので、クラシックに限らないボーダレスな興味・関心が広がっているように感じています。

深澤氏
深澤氏

ストリートピアノで活躍されているアーティストは、ハラミちゃんをはじめいろんな方がいらっしゃいますが、今まででは考えられないミュージシャンの立ち位置だと思っていて、彼女たちもクラシックのアーティストでありながら、ストリートピアノにおいてはポップスピアニストというようにいろんな顔を持つことができる時代になったと思います。

深町氏
深町氏

アイドルの世界だとオーディションからテレビなどで紹介されて、せめぎ合いであったりドラマであったりが生まれてどんどんファンが増えたりするんですけど、クラシックの世界もオーディションをやっていらっしゃるのであれば、ぜひ見てみたいですね。どんなオーディションが繰り広げられているのか気になりますね。

深澤氏
深澤氏

なかなか嫌なもんですよ(笑)

「音楽都市 福岡」の実現に向けて

深町氏
深町氏

最後に「街と音楽」のテーマに戻りますが、日本の中で音楽都市を調べてみたらいくつかあがってきます。浜松市はヤマハやカワイ、ローランド等の楽器メーカーが集中していて音楽都市として認知されています。郡山市も有名で、1年を通して音楽イベントが実施されていますし、街なかには音楽をモチーフにした椅子やベンチ等が設置してあります。あとは沖縄県もミュージックタウン音市場という施設がありますね。

深町氏
深町氏

世界の事例を見ていても新しい動きが目立ちます。例えばフランスでは音楽がもたらす影響を調査する国立音楽センターが設立されています。フランスのロワールという都市では音楽分野の経済的価値に関するデータを収集しています。音楽文化や芸術文化はこのようなエビデンスがないのが実情です。音楽と健康も実は密接な関係があるとも言われていますが、データとしてはなかったりするので、そういった情報を集めていたりもしています。ニューヨークでは女性ミュージシャンを支援するための取組をしています。

深町氏
深町氏

音楽業界においてはおそらく圧倒的に男社会だと思います。女性の音楽プロデューサーがまだまだ少ないように女性の社会進出は不十分なんですね。社会問題の解決において音楽を活用して取り組む動きがでてきています。もちろん問題解決に限らず都市の成長戦略の位置づけとしても有効であると思います。それぞれの事例を聴くと全然タイプが違うので福岡を音楽都市にするには?と考えたときに福岡らしい切り口で音楽都市を実現できればと考えています。

深町氏
深町氏

福岡音楽都市協議会は音楽都市を実現していくにあたり本当にコアな組織だと思っています。音楽でできることはたくさんあるということは今までの話の中でアイデアが出てきましたけど、私たちも日々勉強していかなければいけないと思いますし、皆さんが集まったことによって実現できることもたくさんあると思いますので、今日の4人だけじゃなくて他にもメンバーがいるわけですし、もっと言えば市民や企業、公的機関など分け隔てなく巻き込んで、総力戦で取り組んでいけたら面白いことが実現できると思います。

深町氏
深町氏

みなさんそれぞれ普段の仕事もあるでしょうがぜひ協力しあって前に進んでいけたらと思いますのでよろしくお願いいたします。じゃあ最後にそれぞれ一言ずつ今日の感想などを一言聞かせてください。

寺田氏
寺田氏

きなことはなかなか難しいですけれども、まずは福岡に住んでいる皆さんが音楽を通して幸せに日常を送れるような、そんな福岡にしていきたいです。さらに、今や「東京にお芝居を観に行ってきます」だったり「ちょっと新歌舞伎座まで」っていう時代ですから、福岡へ音楽を聴きに行きたいって言う人がたくさん出るといいなって思いますし、音楽をやろうっていう若者たちにも優しい街であるようにこの協議会が少しでも力になれればと思います。

松隈氏
松隈氏

東京のミュージシャンや音楽関係者の仲間と喋っていると、福岡ってご飯美味しいし、女性も綺麗だし、街もきれいだしというのは良く言われまして、飲みに行きたい、遊び行きたい音楽聴きに行きたいっていう発想をしたときにハードルが低いと言いますか、引きがすでに強いですよね。なので可能性しかないと思っています。みんな福岡に行きたいって思っているのでこちらからどんどんコンテンツを提供して作っていけば、もっと盛り上がることは間違いないと思います。人口も増えていきますし、景気がいい方向に向かう街だと思うので、この協議会や音楽を通じて福岡という街に興味を持ってもらえるように取り組めていけたらいいなと思います。

深澤氏
深澤氏

音楽というのは私たちの生活に絶対必要なものだと思いますし、この身近な音楽を通じてみなさんの心を豊かにしていきたいですね。あとは東京だとなかなか街で音楽関係者の顔なじみとすれ違うということは少ないでしょうけど、福岡だとそれが全然あり得るわけです。物理的な距離と心の距離が近いことも福岡の特徴だと思いますので、気軽にコミュニケーションが取れてちょっとしたことがきっかけで新しいモノが生まれる環境が整っていると思います。いろんなものが生み出されるとより音楽が身近になるかもしれないですし、心の糧になるかもしれません。私達も九響として少しでも協力できたらと思います。

深町氏
深町氏

みなさんありがとうございます。私達は立場こそ違いますが、音楽に育てられたと言っても過言ではないと思います。ですから、音楽で何か恩返しを街に対してできたらいいなと思います。これだけ距離感が近いわけですし、これから出会いもいっぱいあると思います。今はこのような状況なので外に出歩けないですが、いずれ時代が変わった時に魅力のある街として生まれ変われるように音楽で恩返しをしていきたいですね。なんかもそういう年頃ですよね(笑)俺が俺がっていう段階は超えましたので、これから自分たちは音楽を通してどんな貢献ができるのだろうかということを真剣に考えていきたいと思います。本日はありがとうございました。