もっと身近に…多彩なオーケストラの魅力を vol.2
心の琴線に触れる音楽作品との出会い、それは皆様にとりましてかけがえのない財産になりましょう。今回のコラムではオーケストラにとって最も重要なジャンルである「交響曲」の素晴らしい世界観を少しでもお伝え出来たらと思います。
「シンフォニー」という言葉も頻繫に耳にしますが、それを「交響曲」と訳したのはかの文豪「森鷗外」、見事な名訳です。「交響曲」は、4つの楽章からなるのが基本スタイルで、歴々の作曲家達にとって「交響曲」の作曲は気概に溢れる創作作業、人類の至宝ともいえる数多くの名作が誕生しました。
先ずは「ハイドン」(1732~1809)、104曲の交響曲を残し数々の面白いアイデアを曲中に盛り込みました。心地よいメロディーで聴衆がウトウトしたところに突然の大音量の一撃を炸裂させたり、曲の終わり近く少しずつ演奏家達がステージを去って行き2人のヴァイオリン奏者のみ残る悲しいエンディングを演出したり、ユーモアセンスに溢れた作品も多いのです。
神童「モーツァルト」(1756~1791)が35年の生涯で生み出した数は41曲(諸説アリ)、最初の交響曲はなんと8歳で作曲されました。最晩年に短期間で作曲された39番40番41番は個性際立つ名品、神がかっているとも言えましょう。
楽聖「ベートーヴェン」(1770~1827)は音楽的革命とも評される燦然と輝く9曲の交響曲を残しました。ハイドン等と比べれば多い数ではありませんがそれらは後世の作曲家達にとって絶大なる影響を及ぼしました。“ジャジャジャジャーン”の「運命」、年末の風物詩「第9」等は多くの人々に愛されクラシック音楽の代名詞といっても過言ではありません。
ベートーヴェンを規範とし“追いつけ追い越せ”と創作活動に励んだ「ブラームス」(1833~1897)が残した4曲の交響曲はいずれも大傑作、しかしながら第1番を発表するのに21年もの歳月を費やしています。如何にベートーヴェン作品の存在が大きいものか想像に難くありません。
大編成オーケストラ、長大な演奏時間を要する交響曲群を生み出した「マーラー」(1860~1911)の交響曲はその規模に於いて特異な魅力を内包していると言えましょう。2022年10月8日9日に九響定期演奏会で演奏予定の第2番「復活」は大編成オーケストラに加え合唱、独唱、ステージ裏には別動隊のアンサンブルまで配置される正に大スペクタクル、そのフィナーレでは心震える事間違いなしです。是非皆様とその感動を演奏会場で分かち合いたいものです。
まだまだ紹介しきれておりませんが、優れた交響曲は、それを表現する指揮者、オーケストラによって違った色合いを感じさせてくれるもので、その魅力ははかり知れません。皆さんも心のビタミン剤として「交響曲」を楽しんでみませんか。
記事提供者:深澤 功
九州交響楽団 音楽主幹
福岡音楽都市協議会 企画運営委員