<OTOJIRO 音楽映画レコメンド 連載シリーズ VOL.1> 『ロックの礎を築いた男:レッド・ベリー ビートルズとボブ・ディランの原点』

音楽史を変えた男の知られざる伝説を辿る旅
「グットナイト・アイリーン」「コットン・フィールズ」そして「ザ・ミッドナイト・スペシャル」。世界中で星の数ほどカバー曲があるこの3曲を作った男のドキュメンタリー映画と言えば、もうそれだけでコアなロックファンはこの映画を観たくなるだろう。もしレッド・ベリーがいなかったら、英国ではロニー・ドネガンのスキッフル・ブームの影響を受けたビートルズやローリングストーンズ、更にブリティッシュ・インヴェイジョンの各グループ、はたまた米国ではウディ・ガスリーやピート・シーガー経由でその薫陶を受けたボブ・ディランなど、誰もいなかったかもしれない…。いや、少なくとも世界の音楽地図は現在とは大きく変わっていただろう。
これはまさに「音楽史を変えた」と言っても過言ではないレッド・ベリーの真実に迫る音楽ドキュメンタリーであり、それは一方でポピュラー・ミュージックのルーツを探す旅とも言える。
それに加えて、”伝説の12弦ギタリスト”と称されたレッド・ベリーの演奏風景、魅惑的な歌声を保存したアーカイブ映像、写真などを多数収録。ポール・マッカートニーがレッド・ベリーの曲をカバーする貴重なライブシーンも収められている。ビートルズ、ローリング・ストーンズ、ニルヴァーナ、レッド・ツェッペリン、ビーチボーイズなど、何百人ものアーティストが彼の曲をカバーするなど、その後のロックシーンに多大な影響を与えた男の軌跡を辿る。
『ロックの礎を築いた男:レッド・ベリー ビートルズとボブ・ディランの原点』
キノシネマ天神にて20025年5月23日(金)より公開
<ストーリー>
1888年、米国ルイジアナで生まれたハディ・レッドベターことレッド・ベリーは早くからギターを学び、10代の頃からシュリーブポートの赤線地区で演奏していた。ダンスパーティでは人気者で、女性にもてたことから男たちから反感を買い、しばしばトラブルに巻き込まれて何度も刑務所に収監される。その後、刑務所で民族音学者ジョン&アラン・ローマックス親子と出会う。彼らはレッド・ベリーの音楽性に魅了され、州知事に恩赦を求める歌を録音するなどして陳情、そして釈放に協力。以降、レッド・ベリーはローマックス親子の歌の収集・録音を手伝い、親子によって世界に紹介されたレッド・ベリーの音楽は観客を熱狂させることとなる。1949年に61歳で逝去した後も、彼の曲は多くのミュージシャンによってカバーされ、影響を受けたミュージシャン達によって新たな音楽が生まれ続けている。
監督:カート・ハーン
出演:レッド・ベリー、ピート・シーガー、ハリー・ベラフォンテ、B・B・キング、ジョーン・バエズ、アンナ・ローマックス・ウッド、アーロ・ガスリー、オデッタほか
2021年/アメリカ/80分/カラー/ステレオ/原題”Lead Belly – The Man Who Invented Rock & Roll “/字幕監修:ピーター・バラカン、朝日順子/配給:NEGA
©2024 House of Lead Belly
記事提供者:松尾伸也
ミュージックシティ天神運営委員会委員長
福岡音楽都市協議会 企画運営副委員長