2024/11/1(金)、2(土) Incomplete Niwa Archives 終らない庭のアーカイヴ -anechoic chamber version-

九州大学芸術工学院・音響設計部門准教授の城一裕氏(福岡音楽都市協議会理事兼企画運営委員)が参加する「庭園アーカイヴ・プロジェクト」の展示およびトークイベントが開催されます。

庭園アーカイヴ・プロジェクトは、種々のテクノロジーを用いて、常に動き続ける日本庭園の新しいアーカイヴを開発する研究企画です。
今回の庭園アーカイヴ・プロジェクトでは、九州大学大橋キャンパス内の無響室および録音スタジオにおいて、日本庭園の音に焦点をあてた展示「Incomplete Niwa Archives 終らない庭のアーカイヴ -anechoic chamber version-」とトークイベント「庭=アーカイヴを聴くとは?」を開催します。

2021年には、ウェブサイト「Incomplete Niwa Archives 終らない庭のアーカイヴ」を公開しました。
このウェブサイトでは、ユーザーは日本庭園の3Dデータを自由に動かしながら、風景の映像や音、石や植物、そこで観察される生物など、さまざまなデータを参照することができます。
その中でも音のアーカイヴに関しては、アンビソニックスをはじめとする立体録音を用いて、庭のデータ化を試みてきました。

今回は、九州大学大橋キャンパス内の無響室において、山口市・常栄寺庭園でアンビソニックスを用いて春・夏・秋・冬の各季節に録音された音源を、4つのスピーカを用いて聴取可能にします。
これらの音源は、庭園の一日のなかの変化を捉えるために「長回し」撮影・録音を行うなかで得られたものです。これらの映像・音源は、マジックアワー、すなわち日の出や日没の時間帯に1時間から2時間ほどの間、カメラやマイクの位置を一切変えず固定で撮影・録音しています。そこで庭は徐々に明るくなったり暗くなりますが、さまざまな鳥や虫が鳴き、風や水の音が聴こえます。これらは一見、実に退屈な風景と音のように思われますが、まるで一つの映画や交響曲、パフォーマンス作品のように劇的に変化します。
今回の展示では、あえて四季折々の庭のアーカイヴの音に絞り、それらの聴取とトークイベントでのディスカッションを通じて、音から見えてくるアーカイヴの可能性を検討できればと考えています。

■イベント概要

2024年11月1日(金)

12:00-12:30 上演(春) 13:00-13:30 上演(夏) 14:00-14:30 上演(秋) 15:00-15:30 上演(冬) 16:00-16:30 上演(春) 17:00-17:30 上演(夏) 18:00-18:30 上演(秋) 19:00-19:30 上演(冬)

 
2024年11月2日(土)

10:30-11:00 上演(春) 11:30-12:00 上演(夏)

14:00-16:00 トークイベント「庭=アーカイヴを聴くとは?」:原瑠璃彦、城一裕、東岳志(ゲスト)

16:30-17:00 上演(秋) 17:30-18:00 上演(冬)

※展示の上演において各季節は同一の内容となります。体験できる人数に限りがあるため、お一人につき4回(春夏秋冬)を上限としてご選択ください。当日人数に余裕がある場合には、追加で参加していただくことが可能です。
※上演中は途中入退出ができないため,各回開始5分前までに展示会場(3号館1F無響室)前までお集まりください。
※トークイベントへは,別途参加お申し込みください。

会 場:九州大学大橋キャンパス3号館1F無響室(上演)/九州大学大橋キャンパス音響特殊棟録音スタジオ(トークイベント)
住 所:福岡市南区塩原4-9-1
料 金:無料(上演 各回10名限定,トークイベント 50名限定)

お問合せ:ina@niwa-archives.org

主 催:庭園アーカイヴ・プロジェクト、九州大学芸術工学部音響設計コース音文化学講座
助 成:科学研究費助成事業 基盤研究(B)「動態としての日本庭園の総合的デジタルアーカイヴとその持続的構築システムの研究開発」(研究代表者:原瑠璃彦)、挑戦的研究(開拓)「特異な音響空間内における音を知覚する体験の設計とその配信技術の開発」(研究代表者:城一裕)
協 力:宗教法人 常栄寺、山口情報芸術センター[YCAM]

※キャンパス内は喫煙禁止、会場内は飲食禁止となっておりますので、ご理解とご協力をお願いいたします。
※来場には公共交通機関ないしは近隣のコインパーキングをご利用ください。
※構内の駐車場は入構許可が必要となっておりますが,特段の事情がある場合は事前にお問い合わせください。

■トークイベント登壇者

原瑠璃彦

1988年生。静岡大学人文社会科学部・地域創造学環准教授。一般社団法人hO理事。専門は日本の庭園、能・狂言。2020年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。著書に『洲浜論』(作品社、2023)、『日本庭園をめぐる――デジタル・アーカイヴの可能性』(早川書房、2023)。『洲浜論』にて令和5年度(第74回)芸術選奨文部科学大臣新人賞、第15回表象文化論学会賞奨励賞受賞。

城一裕

1977年福島県生まれ、九州大学大学院芸術工学研究員准教授、博士(芸術工学)。 音響学とインタラクション・デザインを背景とした現在の主なプロジェクトには、音の再生の物質的・歴史的な基盤を実践を通じて再考する「Life in the Groove」、参加型の音楽の実践である「The SINE WAVE ORCHESTRA」、音・文字・グラフィックの関係性を考える「phono/graph」などがある。

東岳志(ゲスト)

サウンド・エンジニア。山食音代表。フィールドレコーディングの考え方で様々な音響、録音に従事。ライブ音響に加え、サウンドインスタレーションの音響の設計を行う。