【信じてるのはロックンロールだけさ】聞く→知る→聴く→効く

みなさんは音楽をどうやって楽しみますか?楽しみ方は人それぞれであり、向き合う角度によって無限大に楽しむことができるのが音楽。今回は六本松蔦屋の館長である南原尚幸氏に楽しみ方のヒントについてコラムを書いていただきました。

どうも、店舗勤務なのでリモートワークに憧れを抱く40代の雇われ館長です。このコラムは今まさに憧れのリモートワーク風に自宅で書いています。エアコンをガンガンにかけ、革ジャンを着て(下は短パン)、ストーンズの元ネタブルースコンピを聴きながら。あ~これこれ、これがリモートワークたい(←違う)

という感じで世の中も働き方も急速に変化しています。さてさて、音楽はどうなのでしょうか?有史以来、人間と音楽は共に歩んできた訳ですが、こと大衆の為の音楽=ポップスに関して、初回は蔦屋書店らしくご紹介したい本があります。

みの氏の「戦いの音楽史~逆境を越え 世界を制した20世紀ポップスの物語」(KADOKAWA)です。

20世紀ポップスの誕生から現代までを単に音楽だけの歴史を振り返るのではなく当時の社会情勢とつなげることで都度訪れるムーブメントの理由などがわかりやすくまとめられています。100年間をこれでもかと濃縮して詰め込んでいます!合わせてオススメなのが彼のYouTubeチャンネル「みのミュージック」で、みの氏の饒舌かつ音楽愛に溢れた語り口にどんどん引き込まれていきます。

今回のコラムでお伝えしたいことは、「音楽を知る」ことでもっと音楽が楽しめるということです。

私自身は、いい年こいていつまでもロックで騒いでる奴なのですが、お仕事柄かつて音楽のバイヤーをしていて、あまりにも長いことバイヤーをやっていたのでいい加減にしろという事で、全国のバイヤーへの教育係をやらされた時期がありました。発注ロジックや分析方法などを教えつつも、それだとAIでも良いやんと思い、せっかくなので「音楽講座」というものを同時にやろうと思いました。そこで「あ、ヤバい、いい年こいていつまでもロックで騒いでる党だった」ということに気づき、音楽の歴史を猛勉強しました。クラシックではグレゴリオ聖歌からバッハの平均律、ベートーヴェンはパンクスやなとか。ジャズに関しては、調べれば調べるほどアメリカの歴史そのものだと俄然興味がわきました。ミュージシャンの破天荒な逸話も音楽の楽しみ方に花を添えてくれます。
今思えば、みの氏のこの著書をバイヤー全員に読ませられたら「音楽講座」はいらなかったと思うくらいこの本は的を射ていて面白いです!

世代によっては当時の社会情勢などはリアルタイムで体感できませんが、我々が今生きている時代に起きていることとエンターテインメントの関連性を観てみるのも面白いと思います。現在は、サブスクやYouTubeで探求心さえあれば地球の裏側まで掘って行けるいい時代なので。

知れば知るほどその音楽への聴き方・感じ方・楽しみ方も変わるでしょう!

では革ジャンで肩が凝ってきたのでこの辺で。

記事提供者:南原 尚幸
六本松 蔦屋書店 館長