【インタビュー】福岡のライブハウス事情や音楽シーンについて(後編)

※左から深町健二郎さん、首藤宏昭さん、南原尚幸さん

福岡のライブハウス「Queblick(キューブリック)」と「OP’s(オーピーズ)」を運営されている株式会社PROJECT FAMIRYの首藤さまに福岡のライブハウス事情や音楽シーンについて福岡音楽都市協議会のメンバーでもある六本松 蔦屋書店の南原さまと一緒にインタビューしました。

前編はこちら

野外フェス「トライアングル」でのエピソード

南原氏
南原氏

社員からもそうですけど、バンドマンや業界の人達からの支持もすごいなぁと感じたことがあって、「トライアングル」に参加させてもらったときに、バンドマンのステージ上のMCがほとんど首藤さんへの感謝や想いで話ばかりで、こんなに主催者のことをコメントするフェスって無いなと感動しました。今のスタッフの方に対する教育じゃないですけれど、スタンスみたいなところも見せていますよね。

首藤氏
首藤氏

仲の良い仲間を呼んでるというのもあると思うんですけどね。

南原氏
南原氏

「トライアングル」って昔はライブサーキットの形でやられていましたよね?

首藤氏
首藤氏

そうですね。つながりを作ってほしい、バンド同士を紹介したいと思ってやってました。あとは違うジャンルの音楽を聞くタイミングってそんなにないと思うので、それを作りたかったのもありますね。

深町氏
深町氏

ライブハウスの対バンとかはよくあるけど、フェスはちょっと違いますよね、混ざる感じですもんね。

首藤氏
首藤氏

そうですね。そういうイベントもなかったので。大学生の頃、東京、名古屋、大阪、福岡で開催されるライブサーキットのようなイベントがあったんですけど、それを参考にさせていただいて自分なりにアレンジして作ったのが「トライアングル」です。

深町氏
深町氏

なんかいろいろ任せているようなイメージもある一方で、さっきの南原さんの話じゃないですけどバンドマンたちとの直接の繋がりというか絆が深い印象も受けますよね。

首藤氏
首藤氏

今トップミュージシャンになっているアーティストとかも、もともとはお客さんがゼロの状態から関係を築いてきたからだと思います。喧嘩もしましたし、笑い合いましたし、いろんな場面で喜怒哀楽を共にしてきたので今があるのかもしれませんね。もちろん全バンドじゃないですけど、プライベートと仕事の両方でお付き合いさせていただいているアーティストさんが多いのは嬉しいことです。

南原氏
南原氏

この絆がこの前の配信イベントにつながったということですね。配信を見ていたんですけど、首藤さんはいつ出てくるんだろうと思って。いたんですよね?

首藤氏
首藤氏

はい。残念ながら2021年のトライアングルはコロナの影響で開催中止になったんですけど、HEY-SMITHの猪狩秀平さんや、MAN WITH A MISSIONのTOKYO TANAKAさんが配信イベントという形で企画してくれて、トライアングルの開催予定だった日に1日限定で配信することになりました。

首藤氏
首藤氏

そこで彼らが自主的に作ったトランプを販売して、それを支援金に回していただいたんです。実は前日までほとんど詳細を知らされてなくて。前日の打ち合わせで急遽この機材がいるって言われてバタバタ手配するみたいな(笑)。冒頭だけ挨拶してほしいと言われたのですが、前に出るのは本当に苦手なので最初は断ったんです。

首藤氏
首藤氏

しかし、自分のイベントのためにみんな来ていただいていると思って「ありがとうございます」と一言二言喋りました。そしたら配信が終わった後になぜか文句がきて、「本当に映らなかったんですね」「それダメだろ」みたいな。いやいや俺出ましたよって言ったんですけど、後々わかった話ですが撮影会場でカメラはちゃんと自分に向いてたのに実際はスイッチャーが自分のカメラに設定されてなくて(笑)違う画面で自分の声だけが流れたという事故が起きました。

南原氏
南原氏

(笑)首藤さんのことが怖くて押せなかったんですかね?

首藤氏
首藤氏

いやいや、そのスイッチャーの方は大先輩なので(笑)そこは問題なくやってたと思いますよ。

深町氏
深町氏

アーティストのほうからイベントを企画していただいた心境はいかがですか?

首藤氏
首藤氏

本当に感謝しかないですね。トライアングルが2年連続中止になって、出演アーティストのほうから何かしたいと言ってくれて、もちろんどんなことでもやるよと返事して、実際は内容の構成やブッキング等全部2人が頑張ってくれて。

首藤氏
首藤氏

ただただ当日行って仕込みして、終わって片付けてしかしてないですよ。アーティストの皆さんのおかげでかなり多くの方に見ていただきました。倍返しじゃないですけど、お客さんやアーティストに対して、恩返ししていくのかを考えないといけないなと思っています。

南原氏
南原氏

本当にいい関係性だからこそ成り立っているんだと思います。トライアングルの警備やってる子たちは、バンドマンの方も混ざってますよね。ステージに上がっているバンドマンは警備しているバンドマンに「お前らも早く上がってこい」みたいな感じで、バンドマン同士も現場を通してすごく良い関係性が築けている感じがします。

首藤氏
首藤氏

最初はアーティストにボランティアでお願いするのはどうなのかな?という気持ちも少なからずあったんですけど、悔しい気持ちになって「あそこに立ってやる」とか「こういうふうに立ってやる」というのを感じてもらいたいと思ってお願いしています。

深町氏
深町氏

「来年こそは」とか。

特別インタビュー
首藤氏
首藤氏

そうですね。実際いろんな方々のおかげで1つのイベントやフェスが成り立っているので、これだけ大変なことをやっているというのを自分で感じてステージに立ったときのMCと、何も感じなくて立つMCじゃ伝わり方が全然違うと思うんですよ。転換中も地元バンドのオムニバスをずっと流してます。

首藤氏
首藤氏

最後お客さんが帰る時にそのオムニバスを無料配布しているんですけど、このオムニバスCDをたまたま聞いていただいて、その地元バンドのライブに行ってみようみたいなきっかけになればと思っています。いろんな方々が関わっているイベントなのでいろんな意味でストーリーを作っているつもりなんですけど、なにせこういうのを表で全然言わないので今回初めてこのような場で喋りました。

南原氏
南原氏

なかなか言ってくれないので。

首藤氏
首藤氏

全然隠してるつもりはないですよ(笑)

深町氏
深町氏

イベンターさんがフェスをやるというのはもちろんわかるんですけど、首藤さんみたいなライブハウスとかを運営している人がやるフェスというのは意外とありそうでないですよね?

首藤氏
首藤氏

ここ最近ちょこちょこ増えてきてますよ。ここ数年全国でフェスが増えてきている中で問い合わせが入ったりはしますね。「正直どのぐらい予算かかってるの?」とか「どのぐらい大変?」とか「どんぐらい時間とられる?」とか。コロナ禍だからこそ増えたかもしれないですね。たぶんいつかモッシュとか声援とかをあげられるようになった時に向けての準備をしたいという、ポジティブな感じで電話は結構来ますね。

深町氏
深町氏

みなさん触発されてるんですね。

首藤氏
首藤氏

そうですね。みんなやりたいみたいですよ。今回いろんな方々にいろんな形でライブハウスを支援していただいているので、それに対してお客さんに返したいという意味で、何かやりたいという考えのほうがみんな強いような気はします。

南原氏
南原氏

余談ですけど、一番好きなアーティストとかは?

首藤氏
首藤氏

実はあんまりそういうのがなくて。。でも1つだけ挙げろって言ったら、ただの昔の思い出になっちゃいますが、高校生の頃THE YELLOW MONKEYを聞いてたのでそれで好きだというぐらいで。今もずっとやってるので行きたいと思うんですけど現場がかぶっていてなかなか行けないんです。高校生の頃の青春の思い出として止まっているので、今聞いたらまた違う感情が生まれるかもしれないですね。

南原氏
南原氏

そのとき刻まれた思い出とか音とかって抜けないですもんね。首藤さんとあまり音楽の話をしたことなかったからずっと気になっていて。僕は常にボヘミアンズが好きだと言うんですけど、首藤さんいつも半笑いみたいな感じですよね。

首藤氏
首藤氏

(笑)もう何年経ってもボヘミアンズとキングブラザーズって言ってますよね。

深町氏
深町氏

そこは一貫していますもんね(笑)

首藤氏
首藤氏

ONTAQやっていても正直あまり見に行っていないんですよ。基本的に全バンド見ていないんです。

南原氏
南原氏

あれだけアーティストいたら全部見れないですよね。

首藤氏
首藤氏

そうですね。地元バンドだけどうにかと思って見に行っているんですけど、やっぱり呼ばれているバンドからすると「あのバンドは見て、俺らは見てくれてないんだ」とかあると思うので。あとは緊急時用に本部で待機しておかないといけないというのもあります。

深町氏
深町氏

あまり思い入れがあると、贔屓感が出るのかもしれないですしね。

首藤氏
首藤氏

そうですね。一番好きなアーティストの話がさっきありましたけど、そういう部分で贔屓感が出ないように自分で制限をかけているのかなと思ったこともあります。もしこのバンドだ!というのがあったら、どのイベントやるにしても絶対そのバンドが100%いることになる。

首藤氏
首藤氏

そんなバンドがたくさんでてきたらイベント自体がマンネリ化しますし、若いスタッフに「このバンド出したいです」と言われても意見を取り入れにくくなっちゃうので。そうなるとお客さんの年齢層も上がっていきますから。新規のお客さんを広げる為にも、この音楽シーンに興味を持ってくれる人たちを増やすこともしないといけないと思っています。難しいですけどね。

深町氏
深町氏

バンドがゼロからスタートして、どんどん成長していく過程も一緒に見ていくとどうしても、そこには個人的な思いも入ってきますよね。

首藤氏
首藤氏

入ってきます。

深町氏
深町氏

そこで次はプロデュース的なことをやりたいとは思わないんですか?

首藤氏
首藤氏

いや、そうでもないですよ。昔あるバンドでマネージャーみたいなことをやってたことがあって、いつか自分でそういうこともやってみたいなとは思っていました。今は全国的にライブハウスがレーベルをやっているところも増えてきていますよね。ただ、今はイベンターの仕事もやっているのでまだ踏み込めないです。

今後の展望について

深町氏
深町氏

これからの夢はありますか?

南原氏
南原氏

昔聞いたのは40歳になったら俺は隠居するんだって言ってましたよね。

首藤氏
首藤氏

はい。引退したいと思って。

深町氏
深町氏

なんでですか、早くないですか?。

首藤氏
首藤氏

就職してすぐ辞めて、寝ずに遊ばず、「負けたくない」という一心で費やしてきた分を取り返したいなというのもあったので、早く隠居したいとか言ってますけど、別に仕事を辞めたいわけじゃないです。やりたいことだけをやるために隠居したいなという。生意気なんですけどいろいろ学んできたものを引き継ぎつつ、まだ足りない部分を勉強して、次のステップに進みたいですね。

首藤氏
首藤氏

海外のフェスとかも見てみたかったので、海外のいろんなところに行ってみようというスケジュールも組んでいました。良いものを持って帰ってこれたらと思って。そのためにずっと頑張ってマイルも貯めていたんですけど、ちょうどコロナ禍になってしまって。まだ妄想ですけど主催でずっとやっていた「トライアングル」をいつかアジアに持っていきたい、飲食店を海外出店していろんなカルチャーに触れてみたいという、そのための時間も欲しいなって思って40歳での隠居です。

深町氏
深町氏

延長線上ではずっといろいろできそうですけどね。。

首藤氏
首藤氏

そうですね。あとは、若い子たちが音楽で何かにチャレンジできる環境を作ってあげたいです。現状は全然環境が整っていないので相談できる人に出逢えたりだとか、そういうきっかけを作れる人にはなりたいですね。自分はライブハウスを建てたり、フェスをやったりという夢も叶えたので、あとは若い世代に引き継いでいきたいです。なので今は若い子とも喋ることも増えたので頑張ってアニメとか見て勉強してます(笑)

南原氏
南原氏

共通の話題が必要ですよね(笑)

首藤氏
首藤氏

ただ、映画見ました?とかなるとなかなか見る時間がなくてついていけなくなります。たまに映画も再生速度1.2倍とかで見ているんですけど。そこに音楽番組で録画している分とかもあるじゃないですか。それまで見ていたら夜中3時4時ぐらいになっちゃって寝不足です。

南原氏
南原氏

そんな苦労をされているとは知らなかったです。

深町氏
深町氏

20年以上業界に携わっていると思うのですが、新しい世代に対して首藤さんなりに肌で感じるころはありますか?

首藤氏
首藤氏

デジタル世代だからかSNSがでかいと思います。PVとかも自分たちで作っちゃうのでクリエイティブな子が多い気がします。そしてプロモーションが昔より簡単になりましたし、お金もかからなくなりましたね。一方で情報が溢れすぎて埋もれることもありますが。そのへんを自分たちで考えて、こうしたら目立つんじゃないのかという観点を持ちながら活動しているのですごいと思います。

首藤氏
首藤氏

今はCDを作らずにサブスクなどで配信をやっている人も多くて、「お金とか大丈夫?」って聞いたら「そっちでちゃんと利益出てます」とか言って、みんなしっかりしてますよね。自分が20歳のときは、どっちかと言うと体育会系で足だけ動いていたのが、今の子たちは足で稼ぎつつデジタルも活用している印象があります。そこに諸先輩方も含めて自分たちがこの音楽業界で培ってきた考え方等、間違いなく残っている部分をどう継承してくか、どんな言葉やどんな行動でどう伝えていけばいいかというのを真剣に考えています。

深町氏
深町氏

時代の変化を感じますね。

首藤氏
首藤氏

ただ面白いのがコロナ前の話ですけど、ちょっと前の空気感に戻りつつあるなぁって思ったことがあって。ライブハウスでお酒を飲む若い子がすごく増えてきたんです。潰れて起きないお客さんも出てきていたんですよ。「20歳になったんでおごってください」みたいなお客さんも増えてきて「じゃあいいよおごるよ」みたいな。ちょっとこれ良い感じだと思っていた矢先にコロナになったんです。まぁ今は粛々と時間を守ってライブはやり続けないとダメだろうなということをいつも思いますね。正直ブッキングしても会社からのNGが多いのでそこをうまく調整しつつやり続けています。

深町氏
深町氏

ここで休んでしまうとお客さんも離れてしまいそうですもんね。昔のバンドシーンというか、みんながライブハウスに集まって自然とコミュニティができていた状況から、1回「個」にフォーカスされて、それがまた何か反動が出たんでしょうね。もっといろいろつながっていきたいとか、SNSも含めてどんどんつながれるからこそ余計またリアルなほうを求めだした感じもします。

特別インタビュー
南原氏
南原氏

いろいろお話を伺っていて、本当にすべてを大事にされていますよね。「想い」、「つながり」、そして「継承」。自分もやっぱり外に出ないといけないなぁって思いました。首藤さんぜひ集まりを企画してください(笑)

首藤氏
首藤氏

今は厳しいかもしれないですけど、やるなら大先輩にも声掛けて、もちろん若い子も声掛けて大人数でやりたいですね。

深町氏
深町氏

首藤さんはつなぎ役かもしれないですよね。上と下との。

首藤氏
首藤氏

今年43歳でちょうど中堅だと思うので、そういうことはやっていきたいなと思いますね。あとイベントとかも引っ張っていきたいですね。若い子たちが出るきっかけのイベントも少ないと思うので、福岡問わず九州でも。イベントが少ないのも正直わかってはいるんですけど、東京から呼ぶと交通費諸々かかりますしリスクだってありますし。そういうのもうまくできたら一番良いですね。

深町氏
深町氏

本当に早くコロナが収束してほしいですね。こればっかりは予測できないですからね。

行政等の支援策をうまく活用していく

首藤氏
首藤氏

個人的に言うと、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の期間が長ければ福岡のライブハウスのシーンは大丈夫だと思うんです。

深町氏
深町氏

というと?

首藤氏
首藤氏

正直補助金とかのエンタメ支援について福岡はかなり充実してると思うんです。全国的にみても突出してると思いますし、支払いの速さもかなり上位だと思います。いつまで支援が続くかはわからないですけど、他のライブハウスさんも助かっていると思います。アーティストをブッキングするにあたって半年先から1年先まで動くんですけど、予算設定はもちろんコロナ前の基準なので、そこでキャパの制限が国から県からかかって補助金が出ないとなると本当に経営が厳しいです。

首藤氏
首藤氏

満員のイベントで人数制限が半分だと入場料も本来の半額、ドリンク代も半額しか入らないわけじゃないですか。さらには会場費も下げているので。なので単純に言うと半年間ぐらい収入はないものとして考えて運営しています。

深町氏
深町氏

なんとか行政からの支援があってやってこれた部分もあるんでしょうけど、これ以上長引くと厳しいですよね。

首藤氏
首藤氏

キャンセル料とかはやっぱり取れないですからね。

南原氏
南原氏

キャパ等の制限に対して支援がセットになっているのは本当にありがたいことですが、確かにスパッと制限が解除されて支援も解除された瞬間から、いきなりお客さんが戻るとは考えられないですよね。1回離れちゃうと戻ってくるには本当に時間がかかると思いますので緩やかなラインでの助成金というか、一気に何かバックがあるというよりは通常に戻るまでの支援とかがあったら良いですよね。

首藤氏
首藤氏

高望みはしないので、まずは制限が解除されるまで少なからず何かあってくれたら嬉しいですね。制限がなくなればそこは社長として経営努力もしないといけないとは思います。

深町氏
深町氏

制限中でも休業せずに運営していく大変さは絶対ありますよね。ライブハウスコミッションとかが出してるガイドラインも結構ぎっしり書かれてますよね。

首藤氏
首藤氏

そうですね。そのガイドラインを守った前提でイベントをやっても、クラスターが出たらニュースになって一時できなくなりますからね。でもやらないとバンドマンやお客さんがいなくなって、来年再来年がもっと怖くなりますし、ずっとリスクを背負って毎日やるしかないのと思っています。正直言うと雇用調整助成金が出ている間は休んだほうがいいんですよ。

深町氏
深町氏

そっちのほうがいいって言いますよね。

首藤氏
首藤氏

はい。正直リスクもないので雇用調整助成金の申請していたほうがいいと思うんですけど、社員のモチベーションが上がらないですし、バンドマンのテンションも上がらないですし、お客さんもつまんないし、ちなみに言うとドリンクメーカーさんとかも仕入れがなくなっちゃうので、そんなことを考えるとやるしかないと思って。

首藤氏
首藤氏

混雑を緩和する為にキャパの制限や時間帯の制限もしているので長い時間の公演をやめて、短時間で終わって、すぐ外に出てもらうようにしています。Queblickの周年イベントは基本20時に音が止まるように組んでます。ライブサーキットイベントのTENJINONTAQのタイムテーブルも19時半で組んでますし各ライブハウスにはアルコール販売はなしでやってくれと通達を出しています。

南原氏
南原氏

ライブハウスの方々の声を集めて、上程したりとかは過去にされてるんですか?

首藤氏
首藤氏

してないです。たぶん一番しているのは大阪ですね。とある会社の社長がライブハウスやイベンター等をとりまとめていろいろ動いています。資料を見させてもらったんですけど、イベントも会場をタダで貸しますよとか、逆にイベンター同士でここ一緒にやってくださいとか、すごく連携している印象を受けました。連携して何かをやるにあたって経費をどう補填していくかみたいなところもちゃんと議論されてましたね。

首藤氏
首藤氏

イベントに関して言うと、J-LODlive(コンテンツグローバル需要創出促進事業費補助金)やAFF(コロナ禍を乗り越えるための文化芸術活動の充実支援事業)等の補助があるので、イベントを組むのは正直そこをちゃんとすれば半額や全額補助されるのでうまく活用していたと思います。ただ、このような支援策を知らない人が大勢いるのが現状で正直もったいないと思います。ちゃんと調べず知らないままに文句を言うのもちょっと違うと思いますし。知ってても大変そうだからやらないとかも聞いたりします。ちゃんと調べて使えるものはちゃんと活用していくことが大事だと思いますね。

深町氏
深町氏

まさにこの福岡音楽都市協議会でいろんな支援策の申請方法とかいろいろ発信していきたいですね。

南原氏
南原氏

勉強会を開催したりもいいですよね。

首藤氏
首藤氏

「この補助金はこういう人たちが使います」みたいな例を提示してくれるとありがたいです。たとえばみなさんが日常的に使うLINEとかに情報が入ってくれると絶対見ますよ。

深町氏
深町氏

確かに。ライブ情報なんかも今日あっているイベントとかが出てくれるとすごくうれしいですよね。

首藤氏
首藤氏

そうですね。イベントの集客について社内で議論していた時に、20年前以上、どうやって告知して、どうやってチケットを売って、どうやって集客していたのかというのに1回遡ろうと。そこに何かがあるはずだといって。デジタルが無い時代でもお客さんが来ていたわけじゃないですか。フライヤーや情報誌、口コミ等で。

深町氏
深町氏

なにかわかりましたか?

首藤氏
首藤氏

まだミーティングを始めたばかりなので答えは出ていないですけど、ヒントをもらえそうな気がします。ここ最近フライヤーを持って帰る子が増えてますね。個人のイラストレーターがたくさん活躍していて、フライヤーのデザインをしていたりするので、その影響もあると思います。

深町氏
深町氏

意外とそのゆり戻しというのはあり得るかもしれないですね。

南原氏
南原氏

情報が溢れているじゃないですけど、情報が取れてないことのほうが多いと思いますね。

首藤氏
首藤氏

そこって昔は追っ掛けてたと思うんですよ。でも今は情報が多いからずっと待ってるだけじゃないですか。たぶんその差だと思うんですよね。

南原氏
南原氏

見るものはシティ情報福岡とか情報源が絞られていたので、それさえチェックすれば良かったですけど今はいろんなメディアがありますからね。

首藤氏
首藤氏

バンドシーンに関してはチェックしているんですけど、それ以外のシーンというのはなかなか情報が入ってこないじゃないですか。でも興味はあるんです。だから時間があれば行ってみるとか、業界人のほうが興味を持っていると思うんですよね。どういう感じなのか、この箱行ったことないからちょっと見てみようかとか、なんか使えるかなとか。TENJINONTAQ時でも、イムズホール借りたり、ジャンルもロック以外にもヒップホップとか入れたりしました。いろんな情報をかき集めると幅が広がりますよね。

深町氏
深町氏

最後に、このOTOJIROというWEBメディアは若い方も見ていると思いますので、音楽を志している方に対してアドバイスあればぜひお願いします。

首藤氏
首藤氏

個人的な意見ですけど、自分の考えを持つことがすごく大事だと思います。先輩や友達の意見というのは、ちゃんと聞いたうえで右から左に流していいと思うんですよ。でも流す前にちゃんともう1回考えること。自分が言われたこと、むかついたこと、頭に残る言葉ってあるじゃないですか。おそらく自分のどこかに刺さっている言葉だと思うので素直にその言葉と向き合って、うまく自分なりにアレンジして考えていけばいいと思うんです。

首藤氏
首藤氏

あとは人とのつながりですね。つながりができてくると付き合いも増えて大変だとは思いますけど、やっぱり人と人とのつながりで、人生が変わることを自分は痛感しています。ライブハウスに行って生のライブを見て、いろんな人とコミュニケーションとって、自分が感じている事をアーティストとしてうまく表現できれば、それが一番個性も崩さずにやっていけるのかなとは思います。顔を出してないアーティストも増えていますし、表現の幅は昔より増えていると思います。できることは何でも協力したいですね。

深町氏
深町氏

このように寄り添ってくれる先輩がいたら心強いですね。今日は貴重なお話ありがとうございました。

首藤氏
首藤氏

ありがとうございました。